【短】半透明な愛を捧ぐ

「思ったより、早かったね」

「寝ようかと思ったぞ」


2人からのアメとムチに「ごめんなさーい」とムチの方に返事をした。


「今日、親戚同士でお寿司食べるらしいんだけど、叔父さんのいとこが戻ってくるらしいぞ」

「しかもそのいとこの息子さん、イケメンらしわよー」

「ほえー、いくつ?」


あまり期待すると会ったときにショックを受けるから、あまり期待はしないでおこう。


「今年19ですって、しかも弓道で全国いったらしいわよ」

「すごいねー」


あたしの運命の人は梨吉さん以外いない。

だから、探し出してくれるまで待っているんだ。

そのあと、何か言っていた気がしたが、半分意識を飛ばしていたため、ほぼ聞こえなかった。



「…里依南?着いたよ」

「ん、もう?」

「そう、予定より早く来たみたいだから、そのまま叔父さんの家に来たわよ。って、あら?あなたすっぴん?」

「違うよ、ナチュラルメイク」


ただピンクのリップクリームに顔にクリームを塗っただけど。

髪はショートだし、前髪はセンター分けで手入れをすることがない。


「まあ、いいわ」

「…次からはお洒落メガネしてくるし」

「そんなの買うんだったら、つけまつげしなさいよ」

「やだよ、面倒くさい」


「こんにちは。梅本と申します」


しばらく歩くと、中年ぐらいの叔母さんと、隣に後ろ姿で分かるぐらいスタイル抜群の男の子がいた。


< 24 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop