花物語
銀杏は手品師

働き者でない働きアリさんは
大きなイチョウのある公園の
自分ひとりの巣の前にいました
アリさんははぐれアリでした
オオイチョウを見上げて歌っていました

「銀杏は手品師老いたピエロ」
そこだけしか覚えていませんでした
覚えているところだけをくり返し歌っていました
するとアリさんの小さな声が聴こえたのか
オオイチョウさんがアリさんに声をかけました

オイオイそれは歌ってるのかい
それともつぶやいているのかい
オオイチョウさんに私の歌が聴こえるんですか
これは参ったな悪口なんか言えないですね
公園中のどんなことも私には分かってるんだよ

聞いてください思っていることを言います
あなたの黄葉はすばらしいです
こうしてじっと見ているだけで感動します
落ち葉は公園の冷たい地面を素敵なじゅうたんに変えます
きれいでほんとうに温かいのです

アリさん私は枯れるまで現役です
老いていては毎年無数の若葉を育てられません
枯れても私の体内から若い芽が育ちます
その若い芽の中に私がいます
私は永遠なんですよ

 公園の手品師  作詞:宮川 哲夫 作曲:吉田  正

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