恋する24時

「……」





 わたしのことを好きだと言う

 視線も、やさしい言葉も

 今はまだ重くて

 正直どうすればいいのかわからない。





「全然元気ですよ? 明日も明後日も忙しいし、頑張りましょうね!! 由木先輩」



「……うん」





 嫌いではないし

 居心地も良くて素敵な人だなとも思う

 好かれていて嬉しくないと言えば

 嘘になってしまう。





「……」






 でも、今はまだ

 そんな気持ちにはなれない、から……。





「今度、気晴らしに食事でも行かない?」





 えっ!?



 わたしは、思わず立ち止まって

 由木さんを見つめてしまった。





「もちろん、お仕事を兼ねた先輩としてだけどね?」



「!!??」





 あわてて

 そう付け足した由木さんの頬が

 少し赤くて

 わたしは、おかしくて

 思わず声に出して笑ってしまった。





「笑ったな?」



「ふふふ…、いいですよ?」



「えっ!?」



「由木さんが、わたしの心に花を咲かせてくれたら……」





 由木さんのお願い叶えてあげますよ?





「……えっ? えぇっ!? 遙花ちゃん、それってどう言う意味?」



「内緒です」





 なんて…



 わたしはいつか咲く

 誰かが咲かせてくれる

 心の花を思い浮かべて



 とても幸せな気持ちで

 由木さんを見て言った。









 fin

< 500 / 915 >

この作品をシェア

pagetop