恋する24時

 小さなため息が聴こえて





「――…おいで、亜美」





 ドキンッ



 空気がゆらいで

 左手がおいでと揺れた。



 あっ……。



 初めて、名前呼んでくれた。





「……っ」





 そんなことが嬉しくて

 その左手に誘われるように

 先輩の座る椅子のそばへ向った。





「……」





 その左手が

 無言で

 アタシの身体を引き寄せる。





「……あ、あのっ?」





 引き寄せられたその先は

 せ、先輩の膝の上で



 は、恥ずかしい……。



 アタシは、困って先輩を見た。



 印南先輩は

 怒っているのか

 照れているのかわからない顔で





「一度しか言わねぇぞ?」






 と言うと



 えっ!?



 そのままアタシを抱き寄せて

 頬に、触れるか触れないかの

 KISSをした。



 う、うわぁぁっ



 初めてされるKISSに

 心臓が破裂しそう……。










「好きだ」




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