恋する24時

 生まれて初めて彼が出来ました。



 その人は

 同じ部署の先輩で



 企画補佐のアタシに

 お仕事を教えてくれる人でした。







「亜美ちゃんおはよう」



「あっ、おはようございます美知先輩」



「そ~そ~、辞令見た? 1Fフロアに貼り出されてたよ?」



「いいえ?」



「印南くん、1コ昇進だよ?」



「わぁ、スゴイですね!」





 10月になって

 企画部に辞令がおりた。





『本日付けで、印南桐谷を企画部主任に任命する』





 実は、数日前に

 先輩から聴いていたのでした。



 今日はお祝いに

 先輩の好きなモノ作ってあげようかな?



 あっ、でも

 加藤部長と飲みに行ってしまうかしら?



 それでもいいや

 先輩の好きなモノ作ってあげよう。





「……」





 今日からは

 先輩じゃなくて

 印南主任って呼ばなきゃいけないな。







 アタシには

 会社に秘密の彼がいます。



 この部署の為に必要なことだそうです。



 内緒だけど

 家に帰ったら

 ちゃんと彼と彼女に戻れます。



 とっても優しくしてくれるんです。





「……」





 今日も1日忙しくなりそう



 アタシは

 晴れ晴れとした気持ちで



 皆さんの大好きなコーヒーを

 今日もたっぷりと

 作っているのでした。










 Fin

< 739 / 915 >

この作品をシェア

pagetop