苦く甘い恋をする。
そのほんの数秒のせいで、私は長谷川くんに腕を掴まれた。


「何帰ろうとしてんだよ」


「はぁ? バーカ! 放してよ!!
言ったでしょ? 私にアンタを手伝う義理はないって……」


「……いいから来い」


おまけに、有無を言わさず、タクシーから引っ張り下ろされた。


「ち……ち……ちょっと待ってよ!!
放してっ!!」


……と言ったところで、私が長谷川くんの力に敵うハズがない。


ズルズルズル……と、会社の裏口まで引っ張られた。
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