苦く甘い恋をする。
「ん?」


首を傾げる仕草。


「どした? 寒い?」


私の手をふわりと包む、大きな手。


「ううん。違う。
違うけど……」


言いよどむと、長谷川くんは、顔をくしゃっと崩し、優しい眼差しを私に向けた。


「……んだよ。言えよ。
気になるだろ?」


「ん……」


でも、私には続きが言えなかった。
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