苦く甘い恋をする。
「あら~奥脇さん、おはよう」


険のある、ツンツンした声が聞こえた。


ふと見れば、見たことがある程度の女性の先輩社員が書類を抱えて、顎を上向けた状態で立っていた。


「おはようございます」


名前も覚えていない社員といえど、手を抜かず、きちんと頭を下げて挨拶する。


それが受付としての心得だと、先輩社員に刷り込まれたからなのだけど……。


私の笑顔と頭を下げた丁寧な挨拶に対して、その女性の社員はふんと軽く鼻を鳴らした。


「いいわよね~、あなた達は」


「…………」
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