魔女の幸せ


ハンカチを畳んでいると、出遅れたらしい妖精が一匹やってきた。


『クッキーなくなっちゃったの?』


小さな人型に羽の生えた妖精…その顔は人間のようにシュンと残念そうな顔で、
アリアに聞いてきた。

この姿も声も、鍛えた魔女にしか見る事も聞く事もできない。


「ごめんなさいね。今度はもっといっぱい作ってくるから…」


そう言いながらアリアはポケットを探る。


小さな包み紙を取り出し、包みを開いた。



これは、アリアが好きな砂糖菓子。小粒のあめ玉だ。

いつも一つは持ち歩いている。




「今日はこれで良いかな?私のお気に入りの砂糖菓子なの」




アリアが手のひらにコロンと砂糖菓子を転がせば、妖精が目を輝かせて持つ。



 
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