ブラウン管の中の彼女


「祐一郎、あいつはやめとけ」


樺摘さんの口調は宥めるように優しかった。


「なんでだよ…っ…!!樺摘さんだって知ってるだろ!?僕と実早ちゃんは小さい頃からずっと一緒で…「だからだ」


僕は驚いてハッと樺摘さんの顔を見た。


「実早はお前に近すぎる」


「どういう意味だよ…!!」


その問いには答えてくれなかった。


「寝る。飯が出来たら起こせ」


樺摘さんはイライラと頭をかいた。


「僕は実早ちゃんが好きだよ」


樺摘さんの背中はやっぱり答えてくれなかった。


最近、樺摘さんとする会話はこんなものばかりだ。


< 170 / 280 >

この作品をシェア

pagetop