ブラウン管の中の彼女



あの日から3日―…


鳴らない携帯を見つめながらボーッとする時間が増えた。


実早ちゃんが泣くのを見るのは久しぶりだった。


最後に見たのはいつだったかな…?


「おい!!祐っ!!」


手形が残りそうなくらいバシンと強く背中を叩かれた。


「っ―!!」


痛いっ!!


なんで太一はこんなに乱暴なんだ!!


しかも背中なんてさすることも出来ないじゃないか!!


「知ってるか?今日は福永実早が生出演の番組があるんだぜ♪」


太一は今にも走り出しそうな勢いだ。


「…そう」


僕にはもう関係ない…。


「振られたくらいでそんなにへこむなよ!!こういう時はテレビでも…」


太一の声に覆い被さるように電子音が響いた。


僕は携帯を掴むと急いで廊下に出た。



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