誘惑Baby

異変



「今日、午前二時頃、○○市○○区で暴行事件が……」



「物騒だなあ…」


俺は、テレビを見ながら呟く。


キッチンからは、洗い物の音がしていた。


「刃物なんて、持ち歩くなよ…」


テレビの中で、淡々と事件の事情を話すニュースキャスターを、なんとなく冷酷だと思った。


「いやだねえ、こういうニュース」


洗い物を終えた優子が、俺の隣に座る。


「ん、最近多いらしいからな。」


実はこのところ、相次いで暴行が起こっていた。


「ん、みたいだね…」


心なしか震えた声な気がした。


「優子?」

「……」

「優子!!」

「っえ?!」


びっくりしたように、俺を見る。


「どした?」

一瞬目を泳がせてから、なんでもないよと笑った。




< 41 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop