石川啄木の歌を読む (1)

13.燈影(ほかげ)なき・・・


燈影(ほかげ)なき室(しつ)に我あり
父と母
壁のなかより杖(つゑ)つきて出(い)づ


 行商で鍛えし足の衰えて
 迎えし我を
 母は杖とす
 (一郎)'04.1.16

 ひと月の病室暮らし
 去年(こぞ)の夏
 その甲斐あって早寝身につく
 (一郎)'06.9.7

 机の裏でホコリをかぶっていた
 額入りの父の写真
 見えるところに今は置いてはいるが
 友達にもらった色紙をその前に立てている
 写真の父に見られたくない
 写真の父をまだ見たくない
 [ 一郎 ] '08.4.28


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