石川啄木の歌を読む (1)

38.鏡屋(かがみや)の・・・

鏡屋(かがみや)の前に来て
ふと驚きぬ
見すぼらしげに歩(あゆ)むものかも


 これ以上悪くなるなと
 願うのみ
 歩けなくともそれはそのとき
 (一郎)'06.10.2

 公園で遊びし子らをわき見して
 電信柱に
 顔をぶっつけ
 (一郎)'04.2.10

 ヒゲ剃りの鏡は傷み見づらいが
 換えずに使う
 ただただ不精

 部屋の隅に姿見があるにはあるが見ないようにしている
 スマートなら見るかもしれないが
 わが美意識に反して完璧なメタボ腹
 やせたいとは思うのだが
 もう努力する気力もない

 鏡を見ないもうひとつの理由だが
 鏡に写った私の姿は父親にそっくりな気がする
 姿だけではなく電話で話す声が父に似ている
 父に似ているのが嫌なのではなく
 父のことを思い出したくないという気持ちからのようだ

 父のことを思えば今の自分の生き方を問うことになる
 還暦にもなってこんな青臭いことを思う自分が嫌だな
 いまさら自分自身と向き合ってどうなる
 鏡を見ないようにしているのは・・・
 父からも自分からも逃げている後ろめたさからなのだろう
 [ 一郎 ] '08.6.21
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