言ノ葉戯レ


一瞬、怒られていると思ったのも、それは男の優しく柔らかい口調によって消えうせた。




「ま、そこで突っ立てるのも何だろう。…こっちに来なさい」




一切、こっちに視線は向けず空を見上げて煙管をふかしたまま、言葉を続ける男に、娘は“どうしてずっと空を見ているのだろう”と不思議に思った。
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