O君へ・・・配達されない手紙
第8信
きょう
ケータイ小説を更新したよ
この文章を除いてね
だからそろそろ書かなくちゃって
気持になったのさ

書くことがなければ書かなくてもいいんだけど
しばらく間があくと
やはり書かなくちゃって気になる
ある種の義務感かな
それと・・・あの事故がそうさせたともいえる

毎日報道されている
岡山の海底トンネル事故・・・
君の専門の仕事だよね
だから君の話を聞きたいと思った
こんなことがあってはいけない事故だよね

通信事情が良くないトンネルの中で
ケイタイが外部との連絡手段だとは
実際何を言ってるのか分からなかったという
異常があったのか事故前に一人報告に出て
様子を見に入った後に事故が起こったとか

その時点で避難の指示が出ていれば
事故は起きても被害者は出なかったのに
海底の下の工事だから
事故があれば死に直結している
「想定外」を口実にはできないよね

それは福島の原発事故も同じ
起きてはいけない事故
事故が起きたら取り返しがつかない被害が出るのは
起きた今 厳然たる事実だよね
それを無視して原発に依存するようになった

それをまだ続けようとしているからね
北朝鮮やイランが
世界から反対されても
いわゆる原発開発をやめないのは
それが軍事的に必要だから

日本も同じ理由がそこにはあるはずだよ
単なる燃料問題だけではない
宇宙開発にも同じ理由があるんだよ
衛星ロケットの打ち上げ技術の研究は
そのまま軍事用でもある

O君
トンネル工事に詳しい君なら
あの事故のことを書けるはずだよ
事故の真実
仕事の実情

君が書いたものを
本当に読んでみたいと思う
なによりも真実を知りたいから
そう真実・・・書くということは
真実の追求じゃないかと思う

じゃあ
自分が書いてるものはどうなんだ
と言われれば
そんな事を意識しているわけじゃないけどね
実際たいしたものは書けてない

それでいいんだと思うよ
人間なんて自己矛盾の塊だよ
そう思っているだけでもいいじゃないか
それが分かっていれば
最後の一線で踏みとどまることもできるってもんだ

芥川賞受賞者のこととか
書きたいことはあったんだけど
そろそろ寝る時間だから
やめることにするよ
書けるほどの知識は無いしね

それじゃまた・・・
ごきげんよう
< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop