揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦

chapter22

「ホントはさ、黙ってようと思ってたんだ」


しばらく続いた沈黙を破ったのは、溜息と共に口を開いた沙希だった。

私と諒斗の視線は、自然と彼女に向けられる。


「だけどさ、ホント由佳が心配だから」


少し困った様な、それでいて悲しそうな表情。

アイスミルクティーを口にする彼女の次の言葉を、私はただ黙って待っていた。


「私が中1の時…親が離婚したのは知ってるよね?」


私と諒斗は、ゆっくりと頷き返した。


中1の時、私と沙希は違うクラスで。

小学校が違う私達は、顔は知っていたもののそんなに親しくはなかった。


ただ、松本沙希という同級生が安田沙希に名前が変わった事は知っていた。


「離婚が決まるまではさ、うちの家結構荒れてて。親が言い争いするのはしょっちゅうだったし、父親にはよく暴力振るわれたし」


笑って話してはいるものの、彼女は私達じゃない何かを見ている気がした。

それはきっと、当時の沙希自身なのかもしれない。


「そんな家が嫌いで、私はあんまり家にいなかったんだ。夜遅くまで、ちょっと悪い子達とつるんでたりしてさ」


諒斗がどこまで知ってるのか分からないけれど、私には初めての話だった。

私の知らない沙希の過去が、ゆっくりと紐解かれていく。
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