揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦

chapter35

「いつから、記憶戻ってたの?」


一呼吸置いて気持ちを落ち着かせ、大翔君は篠原さんにそう尋ねた。

それでも、彼女は黙ったままで何も答えない。


「正直に答えて?」


口調を荒げる事無く、再度優しく彼女に尋ねる。


だけど、彼女は一向に答えようとしない。


私はというと、思っても見ない展開にただただ驚くばかりで。

ぼんやりと3人のやりとりを眺めているだけだった。


「こっちに戻って来てから?」


ゆっくりと彼は歩みを進め。

篠原さんの隣に立って、俯く彼女を見下ろした。


「神崎君が…先に帰った日の朝なの」


ぽつりぽつりと言葉を絞り出し、篠原さんはゆっくりと顔を上げ。

幾筋も涙を頬に伝わらせながら大翔君を見上げている。


「それって、金曜の朝?それからずっと、記憶の無いフリしてたの?心配してる親や先生達を騙してまで、フリをし続けたって事!?」


淡々と問いかける彼の口調は最後の最後できつくなり。

真っ直ぐに彼女の顔を捕える視線は、すごく冷たく感じた。


「その子は、入れ知恵されただけよ」


そんな大翔君に声を掛けたのは水沢で。

冷たく言い放つと、今度は視線を私の向かいに座るあの人へと向けた。
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