揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
俺からの、一方的な別れ話。


梨香には悪い事をしたって思ってる。


だけど、俺はもう由佳しか愛せないから。

このまま梨香といたって、アイツが可哀想なだけだと思うし。


「水沢、児童会が忙しいんじゃね?」


突然、後ろから俺ら以外の声が聞こえてきて。

振り返ると、水筒を手にしている克也の姿がそこにあった。


「そっか、水沢って児童会長になったんだっけ?」


「そ。やっぱさ、両立は無理だったんじゃねぇの?」


そう言うと、克也は直飲み水筒に口を付け。

ゴクゴクと音を立てて、お茶を飲み始めた。


春也の方はというと、ちょっと困った顔を浮かべながら。


「飯山小学校のバッティングのデータ、調べるのを頼んでたんだけど。それなら、監督に訊いてみるよ」


そう呟くと、ベンチの奥に座っている監督の方へと歩いて行った。

その後ろ姿を見送りながら、


「……ありがとな」


と、周りに聞こえないぐらいの声で克也に礼を言った。


「別に、思った事言っただけだよ」


アイツも小声で返してきた。


克也は、きっと知ってるんだろう。

梨香が、俺と別れたからマネージャーを辞めた事を。


だって今までの梨香なら、きっと児童会と部活を両立させてただろうから。

辞めたのは、十中八九…俺のせいだ。
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