愛かわらずな毎日が。

「ちょっと貸して!」

散々な扱いを受けたレタスと一緒にされた私は香織の手から雑誌を取り上げた。


「えぇっと……。『素敵な出会いが期待できそうです。休日も積極的に外出を。この時期に出会った男性からの』……」

「あ。ここにいた」

食堂と化した会議室のドアが開き、営業部の福元さんが顔を出した。


「あれ?福元さん。どうかしたんですか?
月例会議でもないのに。めずらしいですね」

しなびたレタスを弁当箱の隅に押しつけていた香織が手を止めてそう言うと、福元さんは、

「うん。ちょっとね」

と言って口角を上げた。


私が入社二年目を迎えた春に、本社から車で一時間ほどのところにある営業所へ異動になった福元さん。

スラリとした長身で、短めの髪がすっきりとした目鼻立ちを余計に際立たせている。

清潔感漂うその外見と、人当たりの良い性格からか、社内のオバサン連中に人気のある人だった。


「あのさ、これから外出できる人、いる?」


「え?これから、ですか?」

福元さんの言葉で眉間にしわを寄せた香織。

「午後からここで会議があるから、その手伝いを頼まれてるんですけど」

テーブルに散らかっていたゴミを袋に詰めながら森下がそう言った。


「あ、そっか。役員会議があったんだっけ」

福元さんはしばらく考え込んだあと、すぐそばにある電話に手を伸ばした。

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