岸谷くんのノート



岸谷くん





岸谷くん岸谷くん岸谷くん




うーん…




灯は頭を更に抱える。
名前を言われてもやっぱりピンとこないでいた。一体岸谷くんとはどんな子なのか。


そうこうしてる内にチャイムが全校に鳴り響く。

灯はバタバタと走りながら隣に座る男子にドキリとし、意識を集中させた。



わー。噂の岸谷くん。


噂もなにも、灯の中だけでの事だが、とりあえず、得体の知れない生き物の観察を試みてみようとじりじり視線をずらす。



だって、気になるではないか。


仮にも自分が好きだなんて。



岸谷くんとは、いったいどんな人なのか。



しかし、今は授業中だ。


いきなりバッと顔なんて見れない。




まずは足元だ。



灯はそっと視線を右下にずらす。



…うん。ちょっと汚い上履き。
大きな靴に大きな文字で岸谷、と油性ペンで書かれてる。

まぁ誰でも書くよね。と灯は思った。

しかし、強いて言うなら、男子の割に字は綺麗な方だと思う。

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