青空



息を切らしながら、神社の長い石階段をかけ上がる。
その階段を上がりきるまでには、鳥居が何個かある。
途中、大樹と同い年位の少年とすれ違う。
チラリと見た顔がどこか美空に似ていて、思わず足を止めた。
話し掛けようと思ったが、それより、美空がいるかの方が気になって、再び階段をかけ上がる。
上がりきった所に石の鳥居があり、そこから、旧いが綺麗に管理されている神社の本殿が見える。
その本殿の裏が、大樹のお気に入りの場所。
昨日、美空と出会った場所だ。



「ハァハァ……。いない?」



昨日、美空が座っていた場所を見るが、美空はいなかった。
辺りを見回すが、美空がいる気配はない。
ため息をついて汗を拭い、水屋に行き、その水を柄杓ですくって手洗いとうがいをし、水を飲む。
足や頭にも水をかけ、涼をとる。



「おう、大樹じゃないか」



ちょうど頭に水をかけているときに、声をかけられた。



「あ、神主さん」



声がした方を見ると、そこには、浴衣を着てうちわで扇ぎながらこちらへ近付いてくる神主がいた。



「その水はな、そうやって使うもんじゃないんだぞ」



呆れたように笑いながら言われた。
大樹は柄杓を元の位置に戻した。



「じゃ、何?」

「それは、神様に会う前に自分の体を綺麗にする水。その水で手洗いうがいをしてから、神様にお参りするんだ」

「へぇ。……ねぇ、ここに青い目をしたお姉さん来るでしょ?」



ここに住んでいる神主なら、美空のことを少しは知っているかと思って聞いた。



「あぁ、美空ちゃんか? そういや、今日は来なかったな。弟は、さっき来たけど」

「弟?」



大樹は、ここに来る途中ですれ違った、美空に似た少年を思い出した。



「ああ、音弥くんっていったかな。お前とは正反対だ」

「ふうん」



それから、神主に美空や音弥の話しを聞きいてから、智也たちが遊んでいる学校へ戻った。



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