ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
その後、近藤部長を病院へ連れて行ったということだった。

でも階段から落ちたと言っても、ほんの数段分だったそうで。

もともと腰に持病のあった近藤部長だったので、腰の痛みがひどかったらしいけど。

病院の診察では治療するほどのことではなく、うちの設計課の部長が自宅まで送り届けたということだった。


それを聞いて、わたしはすべての事情を呑み込めたことによる安心感の中にいた。


「大丈夫だよ。ヒロくんは悪くない! だから元気出して」

『カホ……』

「総務部の子を助けてあげようとしたんでしょ。堂々としていればいいよ」

『……ああ。ありがとう』


でも事態はわたしが考えていたよりも根が深く……

このあと会社を巻き込んでの大騒動となるなんてこのときは知る由もなく。

呑気に総務部の女の子とはなんでもなかったんだとそんなことを考えていて……

でもそれはとても浅はかな考えだったのだと後々思い知らされることになるなんて。


やっと二人で歩いていこうと決めたのに。

ヒロくんの隣を歩くのはわたしじゃだめなのですか?

彼に恋する気持ちは誰にも負けないのに。

再びこの想いを手放してしまったら、きっとわたしはもう二度と恋ができないような気がする。
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