ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
「わたしはね、多くの従業員の生活を支えているんだ。それだけではない。下請け業者とその家族も抱えているんだよ。その方たちの生活を脅かすことはできないんだ」

「だからって……」

「西倉くんのことを想うなら、自分が今なにができるかを考えてみてくれないか。君に億単位のプロジェクトの仕事をとってくる力量があるのかね?」

「それは……」

「会社への貢献度が低い君には意見を言う権利はないんだよ。君は設計の仕事すらできないそうじゃないか。だけどね、榊原さんには会社を守ってくれるほどのバックアップがあるんだ」

「…」


社長はわたしと楓ちゃんの価値を比べて言った。

いついなくなってもいいようなわたしの存在。

たしかに、わたしの代わりはいくらでもいるし、すぐに見つかる。

両親は普通の人間で影響力の欠片もない。

そんなわたしに唯一できることが、ヒロくんとの別れ。

つまりそういう価値しかないのだと言われたのだ。
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