砂のオベリスク~第七大陸紀行~

カゲロウ〜アリジゴク〜












「ごめんなさい、言葉のまわり道は勘弁して。この人起きぬけだから混乱するわ」


「で、ありましょうとも。おおせのままに」





 エンの姿もあった。


仰向けになった私が船の大部分を占領していたので、彼女は無理矢理積め込まれた荷物みたいな座り方をしていた。


再会については特に目だった感情を見せず、別れたことも忘れているようだった。





 「悪いね、場所をとって」


「脚を閉じないで。挟まれてしまうわ。
調子はどう。
頭の内側が見えるとか、三本目の腕の感覚があるとか、とにかくおかしなことはあるかしら」


「いや、特に無い。砂の中で長く息を止めていたせいか、少しクラクラするが……」






額を拭おうと腕を動かして、しっかりと相棒を抱いていることに気づいた。

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