砂のオベリスク~第七大陸紀行~
案内者
アリジゴクは前進しない。罠にはまり転がり込んでくる獲物を、待伏せるだけだからだ。
この、珊瑚を主食とするアリジゴクもそうだった。
腹を満たすと、拍子抜けするほど大人しく洞窟のいずこかへ去って行った。
「さあ、ずいぶん落ちたもんだな。これからどうするか」
「たぶん、歩くしかないでしょうね」
「とは言うものの、むやみに歩きまわるのは危険そうだ。迷ったら厄介だし、あんな化け物じみたやつらがウヨウヨいたら、たまったもんじゃない」
「あら、夢の中で私に見捨てさせたくせに、臆病なこと言うのね。大丈夫、落ちるときに方角は確認しておいたから。西はあっちよ」