私をブー子と呼ばないで
 翔太は、私をアパートの部屋に案内してくれると、すぐに仕事場に戻っていった。

 目の下にクマができてたなあ、翔太。

 仕事が大変なら、メールで『中止』の連絡してくれればいいのに。

 別に今日じゃなくても、明日だって平気だし。

 明日が無理でも、私ならいつでも夜は予定があいてるのになあ。

 私は10畳ほどある部屋でポツンと佇んだ。

 キッチンがあって、ダイニングセットが置いてある。

 大きな薄型テレビがデーンと、ダイニングテーブルから観れる位置にあった。

 壁には天井まで届く本棚が置いてあり、ぎっしりと本が仕舞ってあった。

 ドアがある。

 あともう一部屋、あるみたい。

 たぶん、そこが翔太の寝室になっているのだろう。

 男の人の部屋とは思えないくらい、綺麗に片づけられている。

 ダイニングテーブルには、エコバックに入った食料品が無造作に置かれていた。

 今夜のために急いで買ってきたのだろう。

 仕舞っている時間もなく、仕事で飛び出していったのがわかる。

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