はだかの王子さま
 その尻尾の動きが『真衣、おいで』って誘ってくれてる。

 星羅がわざわざ声を出さなくても言ってることが判るって、ステキだし。

 なんだか嬉しそうなのは、見てるだけでも楽しい。

 ご機嫌な狼さんの誘いに乗って、わたしも星羅の隣にうつぶせで寝転がり、両肘をつけば。

 星羅は、獣の前足に、自分の頭をのせ、尻尾と横腹の毛皮で、わたしを包み込むように抱きしめた。

 気持ちいい~~

 あったかいなぁ。

 なめらかな毛皮は、わたしがうんと背を伸ばしても、星羅から裸足の足が出ることは、無い。

 そして、ぎゅっと抱きしめて、初めて微かに香る、匂い。

 お日様を見つめて咲く、花のような、星羅自身の匂いだ。

 やっぱり、星羅は超~~イケメンな人間の姿より、狼の方が良いなぁ。

 さっき、ちらっと。

 人間の星羅じゃないことが、残念だったって思ったことなんて、すっかり忘れちゃった。

 今の姿。

 金の毛皮をまとった獣の姿の方がいいもんね。

 背中あたりを撫でれば、気持ち良さそうに目を閉じる星羅が、とってもかわいいし。

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