はだかの王子さま
 0は、星羅に触らないように無言で必死に逃げ出しているのに。

 星羅の方は、そんなに深刻そうじゃなかった。

 星羅の髪と、瞳は、そのままだったけれど。

 星羅自身は、0を引っ張っている自覚も、嫌がっている様子もなし。

 さっきの変な例えやしぐさを見ると、このままでも、蒼いセイラみたいな気がするんですが……!

 もしこれを放っておいたら、また、変わっちゃうの!?

 絶対、また。

 0と星羅が融合するようなコトは、イヤだった。

 だから。

 わたしは、引きずられてゆく、0の方を反射的に抱きしめて、星羅から庇うように、背中を向けた。

「星羅、0さん引きずったら、ダ~~メ~~!」

 わたしが0を抱えて星羅との間に割って入ったことで、どうやら。

 0を強く、引っ張っていたらしい磁力線みたいなヤツ、遮ることができたのかな?

 さすがに、グラウェとか言う力も、人間の厚みには、負けるみたいだ。

「……真衣」

 一瞬で、ふっ……と、蒼いセイラに飲み込まれかけたのが信じられなかったのか、星羅が、呆然と声を出した。

「僕は……一体……!」

『ちぇ! 半径1mどころの話じゃねぇぜ!
 全くよう!』

 わたしの腕の中で、0がきゃんきゃん吠えた。
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