はだかの王子さま
「出るな、真衣!
 蜘蛛の糸が、切れる!」

「……えっ!」

「何が起こっているのか、判らない以上。
 簡単に蜘蛛の糸を切るのは、やめておいた方がいい。
 あれは、ビッグワールドでも、最大級のブラック・ドラゴンの咆哮(ほうこう)だ。
 しかも、近い」

 星羅に続いて、0も驚きの声を出した。

『なんだよ!
 そんなのが、こっちの世界にもいるのか!?
 一体どうなってやがるんだ!
 まさか、もうビッグワールドの扉が開いたんじゃねぇだろうな!?』

「ブラック・ドラゴンなんて、こっちにいるか、そんなモノ!
 扉は時間を守らなければならないモノだし、フェアリーランド以外の出入り口だって、そう簡単には開かない!
 それに、この『声』は知ってる!
 ソドニだ!
 フェアリーランドで清掃係り兼、案内係りをやってる……!」

『セイラムド・フォン・ソドニキュラエス!
 世界を滅ぼす覇王の『盾』か!
 冗談じゃねぇぜ!
 よりにもよって、獣の姿では、ビッグワールド最強なヤツじゃないか!!
 もちろん、俺様が世界一強いけどな!!!』

 ……えっ!

「覇王には、剣の他に盾なんかいるの?」

 今までの長々とした説明のなかに、イッコも出て来てないじゃない!

『正式に『覇王の』って言われているのは、もちろん俺様『剣』だけだけどな!』

 0は、そう言ってふんぞり返った。
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