はだかの王子さま
「真衣~~! こっち、こっち♪」

 なんて。

 わたしを見つけて、超ご機嫌。

 サングラスを外して、胸ポケットにしまい込み、そのキレイ過ぎる素顔をさらした挙げ句。

 嬉しそうに手をぱたぱた振ってる自分が、どれだけ目立つ存在なのか、無自覚、みたいだ。

 今まで、星羅に見とれていたヒトビトが、わたしの方に向けて、ずざざざっと音を立てて視線をずらし。

 次の瞬間。

 全員が思った『なんだ~~』っていう残念そうな呟きが。

 思ったよりも大きな声になって、わたしの耳に届いた。


 え~~ん。

 どうせ、わたしなんて、星羅とは、つり合わないわよ!

 やせっぽっちで、胸ないし!

 顔だって全然可愛くない!!

 唯一、星羅と似ているのは、腰まである髪の長さだけ。

 もちろん。

 わたしの髪は、金髪でも赤や青のメッシュが入ってるわけでもない。

 力一杯、フツーの日本人を主張しているごわごわの黒髪が。

 わたしの通う高校の校則にのっとって、きっちりみつあみになってるだけなんだもん。

 なんで、とびっきりのイケメンの彼女が、この女なんだ?

 ……みたいな。

 周りからの視線と、無言の圧力がイヤ~~

 お家に帰りたくなるよ~~
 
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