はだかの王子さま
 目つきが鋭い、茶髪の男(ひと)だ。

 人間の姿の星羅は、とびっきりイケメンだし、お父さんも、そこそこ。

 賢介も、それなりに線が細く整った顔立ちをしてるので、わたしの男性の顔基準、いつも『贅沢』って言われるんだけど。

 それに照らし合わせると、幾分ごっつい感じがする。

 マズい容姿をごまかすべく、やたら豪華な服を着てるみたいだ。

 そのひとは、わたしと目が合うと、一瞬息をのみ。

 眉間にシワを寄せた。

『娘!
 我が問いに答えよ!
 そなたは誰で、なぜ白薔薇宮の北塔の窓辺に一人で眠ってた!?』

 え?

 わたし、一人!?

 ウソ!

 わたしの近くに、デッキブラシ君や、砂糖壷さん……いやいや。

 ゴブリンがニ匹いませんでしたか?

 とは、聞けなかった。

 だって!

 ひ~~ん、王さまの表情(かお)怖いんですけど……!

 こ、声も怖くなったよ~~

 ぐぃ、と睨まれ、ひっ、と息を呑んだ時だった。

 まあまあ、と茶色の髪の男をいなすように、黒に、銀色のメッシュの入った髪を持つ男(ひと)が、間に入って来た。

『いけません、王よ。
 そんなに大きな声を出したら怯えてしまうでしょう?
 見れば、服もこちら側のデザインのようですし。
 ビッグワールドの言葉が通じるかは、わかりません。
 気に入って、焦るお気持ちもわかりますが、あなたは、王なのです。
 もっと心に余裕を持ち……』

『うるさい、ソドニ!
 我に命令をするな!!』

 そう怒鳴ると、茶色い髪の彼は、黒髪メッシュの男(ひと)を蹴りつけ、自分の前からどかした。

 うそ。

 このヒト、王さま!?

 さっき見た時は、姿が気に入ったとかで、星羅の格好をしてたけど……これが素のわがまま王!

 お噂は、か……かねがねっ!

 それに、今の様子と、さっきの大広間での様子を思い返すにつけ……なるべく、お近づきには……なりたくないんですが……無理でしょうかねぇ。

 
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