はだかの王子さま
「あと、そのキャミ。
 多分、ドレスの運命、こうなるんじゃないかな? って思ってね。
 僕的に、真衣の素肌やほかの下着、他人に見せたくない部分をばっちり、しっかり布を使ってガードしてるから。
 ヘタすると、そこらへんのワンピースより、布地の多い普通の服、みたいでしょう?
 ……って!
 真衣、真衣~~!
 なんで泣いてるの!?」

 ごめんね!?

 もしかして、火、熱かった?

 どこか、やけどなんてしてないよね!?

 なんて、おろおろしている星羅を、わたし、涙目で睨んだ。

「泣いてなんてないわよっ!
 怒ってるのよ、星羅のお莫迦~~!
 いくら、布を使ってても、キャミは、下着でしょうが!
 こ~~んな、沢山のヒトたちの前で、下着姿なんて、有り得ないからっ!!」

「え~~でも、日本の下着の始まりは、服を脱いでて、非常事態が起きたとき。
 外に出ても平気なように、って流行(はや)ったものだったんじゃ……!」

「……いつの時代の話をしてるのよ!
 それに、いくら気にくわなくたって、本人が着ている最中に燃やさなくても良いじゃない!」

 本当に怖かったんたからねっ!

 そう訴えれば、星羅は、自分のつけていた王子さまマントを慌ててわたしにかけながら言った。

「ごめん!
 悪かったよ~~
 真衣には、今度、新しいドレスをプレゼントするから、許してね?」

「……ウェディング・ドレス?」

「もちろん!
 あ、でも!
 さっきのドレスよりも、もっとキレイで、似合うヤツ!
 真衣は、僕だけのものだよって、みんなが判ってくれるような……」

 ……それって、わたしへのお詫びって言うよりは、自分の趣味丸出し、とか言わない?

 でも、ま、いいか。

 星羅のドレスは、いつだって、夢見るようにキレイだし。

 それに何より星羅自身が、とっても嬉しそうだ。

 だから、わたし。

 星羅に笑いかけながら「期待してるね」ってぎゅっと抱きしめた。

 相変わらず、夜空を埋め尽くすヘリコプターの音と、なんで扉が燃えてるんだ!

 なんて、騒ぎをすぐ近くで聞きながら。











 
< 372 / 440 >

この作品をシェア

pagetop