はだかの王子さま
「……ごめんね?
 今日の騒ぎの源は……本当は。
『真衣には、なるべく何もしゃべらないで?』って頼んだ、僕が一番悪いんだ」

 そう言って星羅は、わたしを抱きかかえたまま、長いメッシュの金髪を翻した。

 そして大股で家の玄関につくと、わたしが今さっき飛び出して来た扉に近づき、賢介にいった。

「扉を、開け」

「はい!」

 星羅に返事をした健介は、お父さんに頷いて、扉を開いた。

 とたん。

 目の前の玄関には、普段見ない光景があって、目を見張る。

 なにしろ。

 さっき、うろうろと動きまわっていた、デッキブラシと洗濯籠をはじめ、ほうきやモップ、バケツなどなど。

 部屋中のありとあらゆるものが、玄関先にきちんと、整列していたんだもん!

 もちろん、出て行った時に掃除道具なんて、なく。

 わたしも、触ってもいないのに!


 ひきっ!


 ……自分でも、顔が引きつるのが判る。


「も~~やだ~~!」


 いつからウチは、お化け屋敷になったのよ!!
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