最弱暴走族と桜【完】SS更新中!


「アレだよな、母さんって何かと強引だよな」

『桃李も似てるよ』


あたしは桃李のバイクの後ろに乗ってため息をこぼす。

あれから、母さんに家から追い出され、仕方なく鋼牙の溜まり場に向かうあたしと桃李。別に確認するほどでもないが、母さんは言いだしたら聞かないからあきらめてバイクに乗ったのだ。


『てか、桃李って無免?』

「ん。勿論」


堂々と言う事じゃないけどね。警察に見つからなきゃ良いけど。

そんなこんなで目的地に着いたらしい桃李はバイクを止めた。ヘルメットを取ってそこを見てみると、そこは小さな店だった。パッと見、喫茶店の様に見える。


『此処?』

「そ。ほら桜姉、顔隠す」

『んー』


桃李が店のドアを開く前にあたしを指さす。あたしはフードを深くかぶって顔が見えない様にする。

あたしは里帰りしているわけで、あまり“華龍”や“血桜”を名乗りたくない。(もう、名乗ったけど、そこは気にしない!)

それでもって、桃李の姉だと言う事もばれたくない。ばれたら、桃李が桃李で無くなるから。桃李は桃李じゃなくて“華龍・血桜の弟”になる。もし桃李が良くてもあたしが嫌だ。


カランカラン。


「あれー、桃李じゃん。どうした?」

「まぁな。尚はー?」

「奥で休んでるぜ」


店に入った瞬間、中にいた数人の視線が桃李に集まった。その中の一人が桃李に話掛けた。


「了解。行くぞ」

『おっけー』

「え、誰。中学生?」


そりゃ、桃李に比べたら、小さいですよー。(175cmと165cmだもん。10cm差…)だけど、中学生は無くない?


「ばーか。俺の…、大切なやつ」

「…え。まさか、桃李って女つくらねぇと思ったらソッチkグハッ?!」

「殺すぞ」


あーあ。そんなに蹴らなくても…。
でも、さっきの桃李は黒かった。うん、あれは母さんからの遺伝だ。




< 9 / 137 >

この作品をシェア

pagetop