サンダルウッドにくるまれて
「時々いるんだ。
サエみたいな≪時渡り≫が…」

「≪時渡り≫?」

「そう、別の世界からやってくる人。
どうしてここに来ちゃうのか、よく分かっていないんだけどね。
でも、安心して。 ちゃんと返すから。
サエがいた世界に。
サエのいた時間に。
その為に学者たちがずっと調べてる。
もうちょっとだけ我慢してくれ」

我慢・・・?
私…別に帰らなくてもいいんだよ。

「ここには…ずっといられないの?」

「ああ。 ≪時渡り≫は帰す事に決まっている。
守らなければ掟破りになってしまう」

掟破り・・・?

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