サンダルウッドにくるまれて
「サエ・・・
僕はね、人より嗅覚が鈍いんだ。劣ってる。
だから、サエが纏う香りも分からない。
残念で仕方ないよ。

自分のこの匂いは、なんとなくは分かってるんだ。
これは『サンダルウッド』がベースになってるんだって。
でも、僕にでも分かる…って事は、相当キツイ匂いなのかもしれないね」

ちょっと悲しそうに遠くを見つめるマティアス。

「マティアスの纏う香りは好きよ。
爽やかな甘さだし、とっても落ち着くの」

「本当? それなら良かった」

やっと笑ってくれた。

悲しそうなマティアスの顔なんて見たくない。

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