僕はショパンに恋をした
俺は涙が出た。

誰も教えてくれなかったんだ。

心の在り方。

今、はっきりと分かった。

今、できる事。

探してみよう。

「どうぞ。霧野スペシャルブレンド。」

やっぱり、彼の声はやわらかい。

俺は目をごしごしこすり、紅茶をすすった。

「もう、前に進めるね。」

少し笑って、はいと答えた。

「若い人は、色々迷う事が多い。私たちの若い頃とは、世間もまた違う。難しいことは年寄りにはわからないが、迷ったら立ち止まればいい。そんな時は、またお茶、いつでも飲みにおいで。」

俺は本当に心から頷いた。

「笑ったほうが良い。ああ、これはジーンの受け売りだけどね。」

そう付け加えて、フワリと笑った。

決めた。

自分が弾き続ける『意義』を探す。

いつか心から弾きたいと思う『意義』を。

俺の存在意義を。

「霧野さん、ありがとう。俺、頑張ってみる。」

「うん。頑張りすぎないように、頑張るといいさ。」

おかしな事を言って、笑った。

この時、俺の奇跡の種は、フワリとやわらかく届いてたんだ。

俺の心に、音もなく、それと気付かずに。
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