通り道

願い

卒業式も終わり、母さんも病院に帰って行った。
俺は家に帰ると、すぐに病院に行く準備をした。

ひでちゃん、卒業式どうだった?
行ってよかったでしょ?

母さんが来てくれてた。

はぁ!?

婆ちゃんは、ビックリした顔で、俺に近寄って来た。

母さんが来てたのかい?

うん。

どうやって?

タクシー。

婆ちゃんは、少し考えてから、

病院抜け出したんかね?

知らん。

ちゃんと病院に居ないと、いつまでも治らないのに!

婆ちゃんは、困った顔をしていた。

大丈夫だよ。
明日から俺が、母さんに付いてる。

ひでちゃんが?

うん。俺が、母さんのそばにいる。

ひでちゃん、ありがたいけど、気持ちだけで良いよ。

なんで?

母さんの看病は、思っているより、大変なんだよ。
ひでちゃんに出来る事は少ないかも。

でも少しは役に立つだろ。
それに、母さんに悪さしてる霊を、追っ払ってやる!

ひでちゃん、母さんは霊なんかの仕業じゃないよ。

もういい!
明日から母さんの所に行くんだ。
もう決めた。
母さんが良くなるまで、帰らないからね。

婆ちゃんは、黙ったまま、台所に行った。
< 39 / 61 >

この作品をシェア

pagetop