通り道
足音
ある日、夜中寝ていると、一階から
ガサガサ
と音がした。

誰がこんな時間に。

気になり下に、下りてみた。
台所の方から音がしていた。
静かにドアを開けた。やはり台所から音がする。

見ると冷蔵庫に頭を突っ込んだ父がいた。
あの日以来、口も聞いてない。

おい、

パッ!

と、父が振り向いた。
父の口の廻りには米粒が無数に付き、目が真っ赤だ。

何しよん。

腹が減ったから、米食いよる。

俺はゾッとした。

左手には茶碗、右手は冷や飯。
手で食べていたのだ。父は、じっと俺を見ている。

気味が悪くなってドアを閉めた。

俺は急いで部屋に戻ろうと階段を上がった。
部屋に入ろうとした時、階段の下から気配を感じて下を覗いて見た。
すると、階段の下から父が頭だけ出して上を覗いていた。

俺は悲鳴が出そうだった。
急いで部屋に入り布団を頭まで被った。

俺は父が部屋に来ない事を祈ってその日は眠った。

翌日、母に夜の事を話した。

昨日の夜は稲荷神社の祭りに行ってたから、狐でも付いたかな?
はははっ!
父さん狐に呪われたのかな!?

そぅ言うと母は

ニコッと笑った。

笑い事じゃねーよ。馬鹿。

冗談よ。冗談
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