君想ふ聖夜


親同士の決め合いで行われたお見合いほど、子供にとって傍迷惑なものは無いだろう。

聖は終始不機嫌そうな顔で、旅館の池の方を見ていた。

わざわざ京都まで足を運んで見合いをするとは、暇人だと見くびってくれたものだ、と心の中で聖は悪態を吐く。


「あまり、楽しくはありませんか?」


二人きりにされて数分間。

黙っている聖に、見合い相手の男は話しかける。

聖の父親関係の男だからかなり面倒。



< 3 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop