愛玩~夢幻の秘密~

そうか。


社長だから来るんだ。


慌てて戻ろうとしても。


足がすくんで動けない。


視線もそらせばいいのに。


鷹都の目があたしを凍りつかせてそらすこともできない。


「…ウソだろ?」


そう聞こえた。


人のざわつきで声なんか聞こえなかったけど。


かすかに動いた口がそう言ったように思えて。


場違いなあたしがいることに、怒るのは当然だと思う。


動かなかった足が勢いよく後ろを向いた。


慌てて会場から出ると、急いでタクシーに乗り込んだ。


郁人とデート気分だったから。


すっかり忘れてた。


鷹都の存在。

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