いきものがたり
私が宮城に来たのは震災から5ヶ月と少し過ぎた8月26日のこと。

テレビで繰り返し流れていた被災地の映像。その場所を目の当たりにした。

崩れかかった家、倒れたお墓、積み上げられた車、歪んだ道路、集められた瓦礫の山、転がった看板、止まった信号、焼けた学校

泥だしが遅れた場所は臭いがひどい。

『やばい……ね。』

「これでも大分片付いた方なんだよ。前来たときはもっとひどかった。この辺は瓦礫だらけで、木が倒れてて通れなかったし。」

『ふ~ん。』

元旦那の運転で被災地を回りながら気分は落ち気味。

(この格好はないなぁ…。)

ジャケットは羽織ったもののシフォンのヒラヒラキャミに七分丈のサテンパンツにミュール。


8月の終わり、自衛隊やボランティアの手で解体や泥だしが進んでいて、復興のリフォームがまさにこれからって時だった。

< 3 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop