ハチミツ×シュガー



 見上げると……隣には顔の整った、世間一般的に“イケメン”な兄。


 かたや私は、やっと普通の女子になれた妹。



 ……神様って不公平だわ。


 溜め息を吐くと先を歩いた。



「楓」


 ……つもり、が。

 後ろから腕を捕まれ引っ張られる。



「楓、周りの声なんて気にするな。

 楓は可愛いよ」



 すぐ後ろに立つ皇が、私の耳元へ息を吹きかけながら甘い声で囁く。



「んなっ な、な、な、何する」

『の』何て。最後まで言えなかった。


 皇を見てたあの女の子達や、スーパーのパートのおばさん。他のお客さんが真っ赤な顔でこちらを見てる。


 私は鳥肌立てながら皇を見上げると、ニヤリと、私にしか分からない黒い顔を見せた。



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