ハチミツ×シュガー



 クラス中が、静かになった空気の中。



「かぁ〜こいい〜♪ 彼方!」


 昨日水族館で会った小沢くん達がヒューヒューとふざけ始めた。

 私は手を引かれたまま、彼らの席に向かう。



「おはよう、如月」

 小沢くんが笑顔で挨拶してくれた。


 私はホッとしながら、

「おはよう」

 笑顔で答えてた。



「チッ」

 何故か、隣で舌打ちする西城くん。
 私がビクリと肩を震わせると、

「大丈夫、大丈夫っ
 彼方は如月が小沢と挨拶したのが気に入らねぇだけだから!」

 ゲラゲラ笑いながら、「っはよ」と挨拶してきた鈴木くん。

 その言葉を聞いてチラリと西城くんを見ると、罰悪そうな顔で「見んな」と怒られた。



 なんだかくすぐったい。

 今まで真弓以外とこんな風に話した事無かったし。


 周りの好奇の目と、憎しみの目と両方感じながら、私は西城くんから離れて自分の席に行こうとした時……


「おはよ、如月」



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