ハチミツ×シュガー



 その日は西城くんがクラスに戻ることは無かった。



 全ての授業が終わると、真弓は彼とデートだからといそいそと帰って行った。


 残された私は、カバンを持ちいつものように教室を後にする。





 廊下を歩いてると、放課後の部活に向かう人、帰る人……入り乱れて騒がしくなっていた。

 その中を静かに目的地まで進んでいく。





ガラガラ…

「失礼します」




 ここは、図書室。


 夕飯の当番じゃない日に良く来る場所。

 今日もここにいるのは私と図書委員の人だけ。



 私はいつものように、真っ直ぐ窓際の、誰もいない席に向かった。




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