ハチミツ×シュガー



「…………」


「――俺がいなくなったら次は斉藤って……

 お前、何なの?」



 黙っている私を鼻で笑う彼。


「そんな女だと思わなかった。
 ……お前みたいな女、もう関わりたくないね」


 そう言った彼は……掴んでいた私の腕を、捨てるように放した。



「悪かったな、“如月さん”

 もう二度と話しかけないから……安心して」



 頭上からの冷たい声。

 私がそれでも黙ってると……彼はそのまま、部屋を出ていった。










「―――っ」



 泣くな。泣いちゃダメ。



 シーン…とした教室。

 彼の温もりの無くなった腕を、ギュッと握る。




「……ヒック……ふ…っ」


 こんなにも、胸が痛い。




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