ハチミツ×シュガー



『俺は……ずっと如月が好きだった。彼方と付き合う前から、ずっと。

 噂なんかどうでもいいんだ。
 俺は、この先もお前を守りたい。

 ――俺を好きになって。

 俺だけの物に、なって欲しい…』






 斉藤くんの静かな、切ない声が、私を揺るがす。


 窓にそっと、手を合わせた。




「――私なんか好きになっても……何もあげられないよ?」



 西城くんを最後に泣かせてしまった私。
 大好きな人でさえも、傷つけてしまう。



『……如月がそばにいてくれたら、何もいらないよ』


 フッと鼻から抜ける優しさを含んだ声に。私の頬を、涙が通り過ぎた。



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