ハチミツ×シュガー



「あの……学ラン、かけてくれたよね。

 ……ありがとう」


『あれは――』



 言いかけて、西城くんが黙ってしまった。



「え、と。……あれって西城くんだよね?」



 私の言葉に何故か盛大な溜め息を吐いて……

『あれは……牽制みたいなもんだから』


 “お前のためじゃないから”と、それ以上話してくれない。



 ――牽制?


「あ…と、誰に」
『お前を保健室に運んだヤツ。
 じゃ、俺授業あるから』

プッ プ――――…



 話を遮るように、勢い良く切られて。

 ……何も言えなかった。



 携帯からは通話が切れた時の機械音が聞こえた。




 ……保健室に運んでくれた人…?



 それって、真弓よね?



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