規則の守護者
青年は、目の高さを少し下げると、困ったようにつぶやいた。


「……そんな顔をしないで下さい。

そもそも信頼なんて、僕はいらなかった。

ただ、あなたに、僕の空を見てほしかったんです。

あなたが空を見てくれる、その確たる証拠がほしかった」


言い終えると、青年は頭を掻いた。


「……こんなことなら、約束なんてしなければよかった。

あなたを縛りたかったわけじゃないんです」



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